マスターカード(MasterCard)は、急速に普及する仮想通貨の時代に対応するため、オランダ発のモバイルウォレットSwooと手を組んだことを発表した。
20日、THE PAYPERSなどが伝えたところによると、両社は仮想通貨を使ったロイヤルティプログラムを展開するという。
このプログラムは、銀行や加盟店、決済サービスプロバイダーに向けて提供されるもので、マスターカードのタッチ決済に対して、Swooの独自トークンが還元される仕組みだ。
ユーザーは、SwooのアプリでこのトークンをビットコインやUSDTなどの人気のある仮想通貨に交換できるほか、法定通貨に換金することも可能だ。
マスターカードは、仮想通貨の普及に伴い、金融業界や小売業界の関心が高まっていることを背景に、従来のロイヤルティプログラムを刷新する狙いがあると説明した。
顧客の囲い込みやコスト削減などの課題に対処するとともに、仮想通貨の世界に足を踏み入れるきっかけをユーザーに提供するものだ。
米のニュースメディアCoinDeskの記事によると、Swooの共同創設者であるフィリップ・シュービン氏は、このプログラムは「グーグルペイが普及していない新興市場、特にアフリカや東南アジア」をメインターゲットにしていると述べた。
さらに、米国の制裁(貿易摩擦やセキュリティ問題)によりファーウェイ(HUAWEI)のスマホにグーグルのサービスが入っていないことから、ファーウェイのスマホが人気の国でも展開を検討しているという。
マスターカードとSwooは、すでにキャッシュバックプログラムの実証実験を行っており、その成果を受けて本格的なサービスを開始した。
3週間の実験期間中、ユーザーはSwoo Payでマスターカードの支払いをすると、5%のトークンがキャッシュバックされた。
実験には17,000人以上が参加し、128,000件を超える取引が行われた。
その結果、カードの利用が増え、仮想通貨の特典がユーザーに好評だったという。
マスターカードは、Web3の分野にも積極的に参入しており、昨年はオーストラリアの中央銀行が行ったCBDCの実験にも協力し、CBDCでNFTを購入するテストを行った。
最近では、VISA(ビザ)もビザ・ダイレクト・ソリューションを通じて仮想通貨の引き出しと支払いを可能にしました。
cryptowiseinvestor.hatenablog.jp
VISAとマスタカードが仮想通貨市場に参入したことは、仮想通貨業界にとって大きなチャンスであるとともに、大きな課題でもあると思います。
チャンスとしては、両社の強力なブランド力やネットワーク力によって、仮想通貨の利用がより身近になり、普及が加速する可能性があります。
また、両社が仮想通貨の決済に関する規制や技術の標準化に貢献することで、業界全体の信頼性や安全性が向上することも期待できます。
課題としては、両社が仮想通貨の決済における中央集権的な役割を果たすことで、仮想通貨の分散型や自律型という本来の理念との矛盾が生じることがあります。
また、両社が仮想通貨の決済に関する規制や技術の標準化に影響力を持つことで、業界の多様性や革新性が失われることも懸念されます。
このように、VISAとマスタカードが仮想通貨に参入したことは、仮想通貨業界にとって喜ばしいことでもあり、警戒すべきことでもあると思われる。