
火曜日、レイヤー1ブロックチェーン「Kadena(カデナ)」の開発チームは、事業継続が困難となったことを理由に運営を停止し、解散手続きを開始したと発表した。
公式X(旧Twitter)でチームは次のように述べている。
「これまでKadenaの旅を共にしてくださったすべての方々に心から感謝します。Kadena組織は、もはや事業運営を継続することができず、Kadenaブロックチェーンのすべての事業活動および積極的な保守を即時に停止することをお知らせいたします。」
x.comKADENA PUBLIC ANNOUNCEMENT
— Kadena (@kadena_io) 2025年10月21日
We regret to announce that the Kadena organization is no longer able to continue business operations and will be ceasing all business activity and active maintenance of the Kadena blockchain immediately.
We are tremendously grateful to everybody who…
この発表を受け、ネイティブトークンのKDAは前日比で59%以上下落し、0.091ドル付近で取引されている。

2021年後半には一時27ドル超の史上最高値を記録していたが、わずか数年でその価値をほぼ失った形だ。
Kadenaはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型ブロックチェーンとして稼働を続けるが、チームはすべてのビジネス活動および積極的なメンテナンスを即時停止するという。
なお、同ネットワークでは約5億6,600万KDAが採掘報酬として分配される予定で、報酬スケジュールは2139年まで継続する見通しだ。
Kadenaは2019年、元JPモルガンのブロックチェーン部門出身であるスチュアート・ポープジョイ氏とウィリアム・マルティーノ氏によって設立された。
両氏はJPモルガン内部で開発されたブロックチェーン基盤「Kynesis(後のJPM Coin関連プロジェクト)」にも携わっていた。
当初、Kadenaは金融機関を暗号資産の世界へ橋渡しすることを目的に立ち上げられたプロジェクトであり、これまでに3回の資金調達ラウンドで約1,500万ドルを調達している。
また、以前のThe Blockの報道によれば、Kadenaの幹部であるアネリス・オズボーン氏は以前、同社が「市場での地位とマインドシェアを回復するために、採用活動を加速させている」と述べていたという。
しかし、その言葉からわずか数カ月後、プロジェクトは静かに幕を下ろすこととなった。
Kadenaの崩壊は、強固な技術基盤だけでは生き残れない現実を象徴する出来事と言える。
同社はPoWとスマートコントラクトを組み合わせた数少ない設計思想を持ち、理論的には高いスケーラビリティと安全性を両立していた。
しかし、ユーザー獲得・開発者エコシステム・取引所流動性という三要素のいずれも欠けていたことが、最終的な致命傷となった。
特に、2022年以降の市場冷え込みの中で、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)型チェーンが資金・開発者を吸収していった構造的変化を乗り越えることはできなかった。
JPモルガン出身という信頼性を備えつつも、エンタープライズ領域に特化し過ぎた戦略が、Web3ネイティブ層との乖離を広げたとも分析できる。
つまり、Kadenaは「優れたエンジニアと元大手金融出身者が作った“完璧な理論設計のブロックチェーン”」だったが、それを実際に使い、育て、広める人間の生態系(コミュニティ)を長期的に築けなかった。
結果として、Kadenaは「技術的理想」と「市場の現実」の狭間で息絶えたプロジェクトとなった。
プロジェクトを支えるのは、資本でも学歴でもなく、ユーザーと開発者の熱量だということが、Kadenaの終焉で浮き彫りになったと言える。
今後、同様にPoWベースで独自言語や独自設計を採用するレイヤー1は、Kadenaの失敗から学ぶ必要がある。
単なる技術的優位ではなく、持続的なコミュニティと流動性の確保こそが生存条件であることを、今回の事例は明確に示している。

